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聞きたくも無いわ


※DRRR!!
※臨也と浪江
※浪江の一人語り
※臨也→静雄?



折原臨也は駄菓子が好きだ。
それをしったのはいつごろだっただろう。私がここへ惰性のようにして居つき始めたのはもう随分昔のことのように思われる。はじめて誠二に女ができたあの晩だ。首だけでない生身の女は当たり前のようにして誠二を私の前からするりと掻っ攫ってしまった。私はその瞬間鬼になった。私は誠二以外を愛さない。だから他の何事にも、それこそ雇い主であるこの男についてだって何も興味は無い。しかし男はそんな私すらも愛しているらしい。男は人というものをすべて愛していた。それが口先だけか本心かなんて私にはどうでもいい。どうだっていいのだ、そんなことは。ただ、この男は見た目にそぐわず殊更に厭な男だったので幾ら男が心をこめて愛そうと相手は決してこの男を愛しはしないだろうな、とは思った。かわいそうに、口先だけでつぶやく。そんな男は今、俺はね、駄菓子が好きなんだよ、浪江さん、なんて、聞きたくも無い話をしながらビッグカツの袋を破いている。なんでかしりたい?そう言って男はソファからこちらを見上げにやりと笑った。聞きたくも無いわ、と切って捨てる。そう、聞きたくも無い。そんな子供染みたくせの訳だなんて。どうせこの男は得意の口八丁で意味の無い、しかし意味のあるように聞こえるでたらめを言うのだろう。要するに俺は人が好きなんだよ、に繋げられる適当を。だけどどうせそんなのはお得意のでたらめなのだ。彼のこどもっぽい趣味にそんな高尚な理由なんてない。彼がいつまでもおとなになりきれないこどもだというだけの話だ。それを彼はいつまでも認めきれないでいる。おとなになっていく天敵の姿を見て「置いていかないで」とすなおに言えずにいる。自分はこどもだと、それを認めてしまえればすぐにでも追いついてしまえるようなそんな差に、拗ねてそこを動けずにいる、本当のこどもだ。「聞いてるの、浪江さん」と上目遣いにこちらを見やるばかみたいに整った顔を横目で流し見て、私はちいさく「ばかなひと」とつぶやいた。

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話の方向性を失った


※DRRR!!
※静雄と臨也
※静雄が別人レベルで大変きもちわるいことになっております
※それでも大丈夫だよ!という方のみどうぞ。



朝だ。太陽がまぶしい。どうやら今日も俺たちは路上で夜を明かしてしまったようだった。
と思ったところで目の前の奴が「朝だ」なんてつぶやくもんだから、なんだか変な繋がりができてしまったような錯覚に陥って、そういやもう8年の付き合いになるんだし、なんて、眠ってない頭はけして普段なら思いもしないような考えを俺に降らしてみせる。殺し合いで明かした夜に意味などあるはずもないのに、「・・・朝だな」と答えてしまったらもうダメだった。疲れた瞳で奴のところどころ切れたくちびるに狙いを定めて触れ合わせてみる。視界の端で奴の目が大きく見開くのが見えた。



がしゃぁああん。物が飛んでってどっかにぶつかって割れて壊れる音がした。
ひいい、と叫んで尻を向けて逃げ出す男を見送れば、数百メートルは離れた場所にいたトムさんが近寄って来て「今日どうしたよ」と小声でささやく。きっと俺を刺激しないようにと気を使ってくれているのだろう。トムさんは本当にいい人だ。サングラスを掛け直して「別になんでもないっす」と返す。トムさんは首を傾げて「ならいいけどよ」と言った。トムさんが首を傾げるのも当然の話だ。今日の俺はいつにも増して最高に荒れていた。それは当然臨也のせいだ。だが俺のせいでもある。いやでもやっぱり臨也のせいだ。そこんところは譲れねえ。
今朝、一晩中殺し明かした俺たちは路上で朝を向かえ、そして俺は何を思ったか何を間違ったか朝焼けをバックにスズメの声をBGMにノミ蟲にキスをした。目を大きく見開いた臨也は次の瞬間俺の頬に思い切り平手を加えた。パチィインとイイ音がしたが俺はまるで痛くはなかった。代わりにノミ蟲の手が腫れていた。その手を庇うように抑えて臨也は俺の方を睨み付け「な、なにすんの」と言った。いや、叫んだ。俺はすこし考えたあとで「・・・キス?」と言ってみた。
「なな、ななに考えてんの?ばかじゃないの?」
「ばかじゃねえよ」
「じゃあなに?なんなの?なに考えてんの?」
「・・・うっせえなしらねえよ」
してみたかっただけだよ、と言ったら臨也は今まで見たこともないような顔をしてぐーで俺の顔を殴って逃げた。大して痛くもなかった。が、鼻血が出ていた。

疲れていただけだ、といえばそれだけの話だ。それだけの話なんだ。なんだけど。
あんとき臨也は傷ついた顔をした。それはあいつらしくねえ人間の顔だった。それを見て俺も傷ついた。ここが問題だ。ノミ蟲が傷ついたってことはまーどーでもいい。それはあいつの勝手だ。俺のしったことじゃねえ。だけどそれでなんで俺が傷つく必要がある?他の人間なら別だ。でもあいつはノミ蟲だぞ。俺が心を痛める部分なんか微塵もないはずだ。このことを考えるとすごくむしゃくしゃする。朝からずっとだ。ああちくしょう。なんで俺がノミ蟲なんかのために頭使って悩まなきゃなんねんだよ。あーくそ、ちくしょう。つーかそもそもなんで俺はあいつにキスなんかしちまったんだろう。だれにもしたことなんかねえのに。ん?・・・ちょっと待て。これってもしかしてファーストキスなんじゃねえか?俺もしかしてファーストキスをあのノミに・・・?え、まじか。思わずぐああ、と呻いて頭を掻きむしると「ほんとに大丈夫か・・・?」と言ってトムさんが心配そうに覗き込んできた。おまえもう今日上がっていいぞ、とその顔のまま言う。ああ、本当にいい人だ。こういう人にキスするんならわかる。トムさんになら俺、キスとか色々、してもいい。ってアレ?ダメだ、今日の俺は本当におかしい。これもそれもあれもどれも全部ノミ蟲のせいだ。「すんません、失礼します」とトムさんに頭を下げて、俺はその足で新宿へ向かった。



ドアをノックすると何の物音もしなかったのでドアをぶち壊して部屋へ入った。ドアを片手に持ったまま部屋の奥へ入っていくとうつろな目をした臨也がソファに座っていた。
「・・・シズちゃん、弁償」
「うっせ」
はあ、とためいきを吐かれた。いつも異様なまでにベラベラベラベラしゃべり倒す臨也がまったく口を開こうとしない。
「・・・朝のこと怒ってんのか」
「べつに」
「怒ってんだろ」
「だからべつに怒ってないって言ってんだろ帰れよ」
「あーてめえにちょっと聞きたいことがあんだよ」
「・・・なにかな」
「おまえ今朝の・・・その・・・やだったか?」
「悪いけど思い出させないでくれない俺朝からすごい努力してんだからね死ねよ」
「いいから答えろよ」
「なにその華麗なまでのスルー嫌だよ決まってんだろ俺はシズちゃんと違って変態じゃないんだ」
「俺は変態じゃねえよ。そうじゃなくてその・・・」
「なんなの」
「ファーストキスだったんだ」
「・・・はい?」
「ファーストキスだった。それをおまえに捧げちまったっつーありえねー自体に対して俺はどういう態度を取ればいい」
「いやしるかよ。つかなんだよ。なんのカミングアウト?」
「そういうカミングアウトだ。で、どうすればいい」
「しるかよ。ねえもういいから死ぬか帰るかしてくれない?」
「嫌だ。ところで俺はどうしたらいい」
「だからしるかって。好きにしたらいいじゃん俺関係ないし」
「けど下手したらまたおまえにキスしたくなりそうだ」
「なんなのもうシズちゃん今日ぜったい変だよ!わかったもう歳だから徹夜が効いてるんだわかったいいよ寝ろよベッド貸してやるから!寝ろ、もう!」
「有り難えがおまえのベッドとか入ったらなんか変になりそうな気がする」
「やめろ!!もう十分変だ今日のシズちゃんは!!!」
「じゃあ借りていいか」
「ダメ!!ああもうどうしろっての俺だってどうしたらいいかわかんないんだよシズちゃんが変なことするから!!」
「変なことって言うな」
「変なことだろうが!!あのさ、じゃあ逆に俺も聞いていい?シズちゃんどういうつもりで俺にあんなことしたの」
「おまえそれ今朝も言ってたよな」
「いいから答えろよ」
「・・・してみたかったから・・・いや、ちがうな。なんつーか、そういう感じだったから?」
「そういう感じじゃなかったよ?!すくなくとも俺は!!」
「あーもーうっせえな俺だってわかんねえんだよなんかおまえとそうしなきゃいけないような気がしたんだよしゃあねえだろしちまったんだから」
「つまり理由とかはなくしたんだね?俺のこと好きになったとかそういう阿呆みたいなことはないんだよね?」
「いやでもずっと考えてたんだがこうして見てっとおまえかわいく見えなくもないよな」
「やめて!!!!」
「・・・てめえよお、忘れてえのになんでそこまで理由とかにこだわってんだ?」
「・・・わかんないよだから言ってんだろ俺だってどうしてこんな気になってんのかわかんないんだよ」
そう言って臨也は膝を抱えてソファの上で丸くなった。まじで朝からずっと悩んでいたのか眼が赤い。「なあ臨也」声をかけると、ん、と目だけでこちらを見上げてくる。その顔に向かってかるくかがむようにしてもういちどキスをした。臨也が固まる。
固まったままの臨也に向かって「・・・わかったか?」と聞いた。
「なななにが?」
「わからなかったことが」
「わかんないよシズちゃんがバカだってことしかわかんないよ!」
「俺はわかった」
「はあ?なにが」
「わからなかったことが」
「俺にキスして?」
「ああ。おまえは今朝の嫌だったっつったけど俺はどうかわかんなかった。けどいまわかった。俺はおまえとキスすんのは嫌じゃねえ。つまりだ」
「・・・つまり?」
「おまえ相手なんてくそムカつくがファーストキスを捧げたっつー事実は認めてもいい」
そんでまたおまえとキスしてやってもいいよ。そう言って奴の瞳を覗き込んだら目を大きく見開いて、それからばかじゃないのとつぶやいてうつむいた。黒髪の間から覗いた耳は気のせいでなく赤く見えた。

 

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1度は書いてみたかった



※DRRR!!
※静雄と臨也(サイケデリック臨也)
※ちなみにサイケデリック臨也はDVD特典のサントラジャケ臨也さんです。見た目はね。




[平和島静雄]

折原臨也が死んだのは突然のことだった。
あんなに死から程遠いところにいる男も珍しいと思っていたのに(もちろん自分は別だ)、あの男はその予想を覆してあっけなく逝っちまった。まああいつは人の予想を覆すのが大好きな男だったからそれで本望なんだろう。前に俺は天国へ行きたいとかあほみたいなこと抜かしてやがったがそれが叶えられたかはしらない。ただ、そんなあほみたいなことはあんなあほが願ったところで簡単に叶えられやしないだろうということはバカな俺にも理解はできた。なので俺は死んだあとの世界というやつを作ってやることにした。あんな厭な男のためにだ。笑える話だよな。むしろ泣けるな。俺は表彰モンのやさしさの塊だ。しかし俺には世界を作る技術なんてない。まして死後の世界なんて見たこともねえものを作る技術はない。つーかそんなもん作れる奴この世にひとりとしていないだろう。いたとしたならノーベル賞モンだ。というわけで俺は俺にできる形であいつを蘇らせてやることにした。一度死んでもう一度目覚めたならそこは死後の世界と同義だろう?たぶんそうだ。いやきっとそうだ。だって新羅がそう言った。新羅は変態だが医者としての腕と知識だけは信頼できる。俺は奴に頼んだ。折原臨也を蘇らせてくれと。あいつは普通に嫌な顔をした。そして断った。俺は生きている人間の治療をしたことはあるけど死んだ人間の治療はしたことないよ。ましてや蘇らすだなんて。むしろ静雄の治療をしたほうがいいんじゃないのかい。同情で安くしといてあげるよ。俺は思わず新羅の頬を思い切りぶん殴るところだったがそれじゃあいつを蘇らすという俺のやさしさは儚く消えて散ってしまう。ぐっとこらえて頼み続けた。そのうち根負けしたのか新羅は了承してくれた。ただし、姿かたちは似せることはできるけど、記憶がすべてきちんと彼に入ってくれるかはわからないよ。成功する確率は20%を切る。それでもいいね。新羅はそう言った。俺はあいつがもう一度酸素を吸えるならそれでいいとそう言った。君たちは本当に・・・そう言って新羅はためいきを吐いた。

そして彼はもう一度生まれた。
白いベッドの上ライトに照らされて横たわる姿はまさしく臨也だった。臨也そのものだった。ただひとつ違うのは彼の頭にはヘッドフォンに似た何かが装着されていたことだ。ヘッドフォンを耳に当てた彼は静かに呼吸をしていた。薄い腹がゆるやかに上下する。新羅、おまえすげえな、素直にそう言えば、新羅はすこし困ったように眉を下げてこう言った。褒めるのはまだ早いよ。これはまだ臨也じゃない。中身がないんだ。何度も試しているんだけど、彼の記憶を送り込むことがどうしてもできない。もうあとは君に任せるよ。なんせ、彼を一番しっているのは君だろうからね。色んな意味で。あと、彼は今の状態ではただの器だ。僕はサイケデリックと呼んでいる。何度も言うようだけど彼は・・・臨也じゃないからね。ばたん、新羅が静かに音を立てて部屋を出て行く。俺は勝手に椅子を引っ張り出してその”臨也でないもの”の傍に座り込んだ。すうすうと静かに呼吸する姿は人間でないという事実を忘れさせる。必要以上に整った目鼻立ちにあいつを思い出す。普段いやらしい笑顔を剥がすことのなかった奴は眠っているときだけは穏やかな顔をしていた。俺はその顔を眺めるのが好きだったのだ。あいつが起きてしまったら否が応でも殺し合わなければならなかったから。だが、今俺はこいつが目覚めるのを心待ちにしていた。たとえその瞬間殺し合わなければならないとしても。俺はそのときを楽しみにしていた。そうと手を伸ばしてさらさらの黒髪とその下に隠れた額に触れる。すると彼に変化が起きた。ふるりとまつげが揺れ、赤い瞳が覗いた。ぱちぱちとまばたきをする。臨也、そう呼ぼうと口を開くと、彼は臨也の顔をして俺を見詰め、「・・・だれ?」と言った。体が凍る。そうだ、新羅にあれほど言われたではないか。彼は臨也ではない。今は、まだ。サイケデリック。それが彼の名前なのだ。「ねえ、だれなの?」彼は不安げに俺を見上げる。「俺は、」俺はすうと息を吸って彼と向き合う。「俺は平和島静雄だ」「へいわじま・・・?」その口が呼んだ名前に違和感を覚えた。「あ、ああ」あいつにそっくりな薄いくちびるはあいつにそっくりな青空のような声で言う。「よろしくね、平和島」



[岸谷新羅]

折原臨也が死亡することはわかっていた。
彼はそのことを静雄にだけは言わないでくれと言った。そのうつくしい顔には死の影は微塵もなかった。いつもどおりに厭な笑みを貼り付けて彼は嬉しそうに頼むよ、と言った。どうして?といちおう聞いた俺に彼は、だってそういうことは突然じゃないとおもしろくないじゃないか、と言って笑った。そしてああ、そのときの彼の顔が楽しみだよ。俺が死んだらシズちゃんはどういう顔をするんだろうね?なんて言うもんだから悪趣味だよと詰ってみせた。すると彼は、だけどその顔を俺は見れないんだ。もう二度と俺のことを殺すことはできないとしったときのシズちゃんの顔を。すごく楽しみなのに。と笑顔を消して悲しげに呟いて見せたのだ。新羅。彼は急に顔を上げて僕の名を呼んだ。なんだい、かるく問い返すと、俺の死体は燃やさないでくれ。と言う。俺の死体は燃やさないでくれ。俺の体は殺さないで。残しておいて。俺は死にたくない。俺が生きたという事実を消したくないんだ。お願いだよ新羅、消さないで。彼は私の知る中でもとても情緒不安定な人間だったけれど、これほど必死な彼を俺は今まで見たことがなかった。私はわかった、わかったよ燃やさないよと約束した。彼はあからさまにほっとした顔をしてありがとう新羅、と言った。彼が素直に礼を言うなんてこともまためずらしいことだった。死というのは人をここまで変えるのかと俺は未知の扉を見詰めるようなきもちで思った。僕はきっと死を前にしてもあまり変わらないだろう。なぜなら俺にはセルティがいるからだ。セルティは人間じゃない。私の死を見届けてそしていつまでも生き続けるだろう。僕が願うのは僕が死ぬときにセルティが必要以上に悲しまないといい、ただそれだけだ。私はセルティを愛しセルティに愛されたという記憶だけを持って穏やかに逝く。それをセルティにも穏やかなきもちで見届けて欲しい。彼女の涙は見たくなかった。しかし臨也は違うだろう。彼はひとりだ。彼はひとりで生きることを選んだ。彼は静雄を選んだのに、傍にいることは選ばなかった。そんな彼にとって消えることはとても怖いことなのだろう。彼は自分の存在が彼の中から消えていくことを恐れている。自分が消えればなにもかもがなくなると、それを恐れている。そしてそれはある部分では正しい。だから私は彼に何も言わない。彼はしばらくのあいだ身長のわりに細い体躯をソファに投げ出してコーヒーをすすっていた。俺が出したコーヒーがすこし苦かったのか眉根を寄せている。ねえ新羅。コーヒーへの文句でも言われるのかとちらとそちらに目をやって目だけでなんだいと聞くと、もうひとつ、お願いがあるんだとこの男にしてはありえないほど殊勝な声音で言った。新羅を優秀な医者と見込んでのお願いだよと彼は言った。それは研究者である親父も指してのことだったろう。俺の記憶、生まれてから今までのすべての記憶を、データにして残して欲しいんだ。そう彼は言った。体を残すことよりこっちのが難しいだろうということはわかってるんだ。だけど体だけ残ったって俺じゃない。俺は俺としてこの世界に存在し続けたいんだよ。俺は、もう一度、天国でもいい、シズちゃんに会いたいんだ。そう言った彼に私はわかったと言った。ありがとうと彼は今まで見たこともないくらい穏やかな顔をして言った。そして折原臨也は死んだ。3日後、ある人物が俺の家のドアを叩いた。平和島静雄が、そこには立っていた



[サイケデリック]

目が覚めたら白い部屋にいた。どこかで見たことのあるような金色がきらきらと光っている。段々クリアになっていく視界の中に、不安げにこちらを見詰める男がいた。背が高い。男のてのひらがいままで俺の頭を撫でていたようだ。心地よさに目を閉じる。俺はこの感触を知っている。そんな気がした。やさしそうなその瞳を見詰めて「・・・だれ?」と聞いてみた。途端に男は驚いたように目を見開いた。今の質問はそんなにおかしかったのだろうか。もしかしたら俺はこの人を知っていて当然なのかもしれない。だからこの人はこんなに驚いたのかも。記憶の中を探ってみる。だめだ、思い出せない。それどころか俺は自分のことを含めて何一つ覚えていないことに気づいた。なんでだろう?そもそもなんでこんな白いところにいるんだろう?ていうかここどこ?俺の頭を疑問の嵐が通り過ぎるが、まずは目の前の男のことだと思った。もし俺の知り合いなら俺のことを教えてくれるかもしれない。もう一度聞いてみる。「ねえ、だれなの?」「俺は、」彼はすうと息を吸い込んでこう言った。「俺は、平和島静雄だ」「へいわじま・・・?」へいわじましずおへいわじましずおへいわじましずお。平和島、静雄。頭の中で何度も何度も繰り返す。脊髄あたりが痺れるような感覚がした。「よろしくね、平和島」俺は知らず微笑んでいた。

おまえの名前はサイケデリックだと平和島は言った。
その友達だというシンラという眼鏡に白衣の青年が俺を作ったのだという。どうやって作ったの?と聞くと、それは企業秘密だよとシンラはやわらかく微笑んだ。俺は平和島と暮らすことになった。週に1度、シンラの”メンテナンス”を受けるのが条件だという。メンテナンスって何?と聞くと元気をはかるんだよとシンラは言った。平和島の部屋はせまかった。豚小屋みたいだねと言うとおまえ口の悪さはあいつと変わらねえんだなと平和島は言った。イザヤだったらぶっ殺してるところだと平和島が言うからイザヤって誰?と聞いたら平和島は気まずそうに押し黙ってしまった。触れてはいけないことだったのかもしれない。しばらくすると平和島は、おまえ腹減ってるか?それとも風呂にするか?と聞いてきた。なにか食べるものあるの?と聞いたらちょっと待ってろ、と言って平和島は厨房に消えた。すこしして甘い食欲をそそる匂いが漂ってきた。俺はこの匂いはとても好きだと思った。そのあと平和島が持ってきたのは焦げ付いたパンみたいなものだった。なにこれ?と聞くとフレンチトーストだと平和島は答えた。おまえ好きだったろ、と言ってくる。それはしらないけどこれはおいしい、というと平和島は満足そうな顔をした。そのあとお風呂に入った。ひとりで入れるか?と平和島は心配そうな顔で聞いてきたけど、当たり前だろ、俺いくつだと思ってるんだよ25だよ、と答えてひとりで入った。あとでなんで俺自分が25だって思ったんだろうってふしぎに思った。だって俺はシンラに作られたばかりのはずだ。25歳って。おかしすぎる。風呂場に置いてあったシャンプーはなぜか嗅いだことのある匂いに思えた。俺はこの匂いがとても好きだったような気がする。白いふとんに埋もれた金色の髪が目蓋の裏に見えた。平和島の髪だろうか。俺にはさっそくバグが発生しているのかもしれない。早くシンラに見てもらわないと。この話を平和島にしたら変な顔をされた。やっぱり俺どっかおかしいんだ。そう訴えたら平和島はおまえはどこもおかしくねえよと言った。おかしいのは俺のほうだ、と。その言葉の意味を聞きたかったけれど頭をがしがし掻き回されて、おまえはもう寝ろとふとんに押し込まれてしまった。あの言葉の意味は覚えていたら明日聞こう。



[平和島静雄]

臨也のためだなんてウソだと俺は気づいていたのかもしれない。目の前のサイケを見ながら俺は思う。俺は頭が悪いので自分のきもちすらはっきりと言葉にすることはできない。そのことで臨也には散々バカにされたものだ。あいつは言葉にするのに長けていた。それこそウソでもなんでも言葉にして本当のように見せかけることができるくらいには。俺にはダメだ。そんなことはできない。そんなふうになりたいとも思わない。ただ、そんなあいつを懐かしくは思う。戻ってきて欲しいと、思う。あんなにも嫌いで仕方なかったのにおかしいものだ。ずっと殺す殺すと思い続けたというのに死んでしまえば生き返ってくれと思う。人間と言うのは矛盾のかたまりなんだろうか。俺は今まで人様の相反した言葉に「んなのおかしいだろうがあああ!」とキレたりしてきたが、実際そんな資格はないのかもしれない。今度からもうちょっとキレないよう努力してみよう。そんなことをつらつらと考えている俺の横で、ノミ蟲にそっくりな顔をした男はノミ蟲とまったく違う何の他意もなさそうな愛らしい笑みを浮かべてテレビ番組を見ている。俺にとってはよくあるバラエティにしか思えず、とくにおもしろいということもない内容だがこいつにとっては違うようだ。出演者が場を沸かせるたびに一緒になって笑っている。臨也とこういう番組を見ると出演者や番組の演出について長々講釈を垂れられて、くそおもしろくねえったらなかった。それが原因でよく殺し合いの喧嘩をしたものだ。番組が終わり、CMに入るとふうと息を吐いたサイケがこちらを振り返り「ねえ、平和島」と声をかけてきた。こいつのこの呼び方だけはどうしても慣れねえ。「シズちゃん」と呼ぶあいつの声が頭をよぎる。あんなにも嫌だった呼び名にもかかわらず俺はサイケにもそう呼ばれたいと願っている。あいつをもう一度この手に戻したいと、そう願っている。
「ねえ平和島」
「なんだよ」
「あそこにはたくさん人がいるけどさ、あの中にも俺みたいにシンラみたいなお医者さんに作られた人間がいるのかな」サイケは無邪気に疑問をぶつけてくる。
「・・・いねえよ」たぶん、ひとりも。
「ふうん」考え込むように呟くサイケを見て、思わず腕を伸ばしその細い体躯を抱きしめる。
ああ、俺は、ばかだ。たぶんこの世の誰よりもずっと。だけどそれでも俺は、あのころの臨也に、ここに戻ってきて欲しい。



[サイケデリック]

今日もまたメンテナンスだ。「行くぞ」と言った平和島は俺の目を見ない。近頃平和島はずっとそうだ。同じ家にいるのに、絶対に俺の顔を見ようとしない。たまに目が合ったりすると、すごく辛そうな顔をして何か言いたそうにするんだ。だけど結局何も言わずに、平和島は目をそらす。いっつもそうだ。俺はたったひとりしかいないのだと平和島は言った。俺みたいに作られた人間はひとりしかいないのだと。なら、どうして俺はわざわざ作られたんだろう。そもそも納得がいかないことだらけなのだ。ここで暮らし始めて数ヶ月が過ぎたけれど、俺はここをもっと前からしっている気がしてならない。机の位置、椅子、俺の定位置。ベッドの上から見るテレビ。そのわきのリモコン。からっぽの冷蔵庫も何度も見たような気がするし、そこを食材でいっぱいにしてやったことも何度もあるような気がする。俺は特別モノを食べなくても大丈夫だから、そんなことわざわざするはずもないのに。平和島がお仕事から帰ってくるときのがちゃりという玄関の鍵の音も何度も聞いたことがある気がする。それからなにより一緒のベッドで眠るときの平和島の寝顔。閉じられたまぶたにすこしだけ開けられたくちびる。俺はきっとこの感触をしっている。平和島に触れたことが、ある。だけど実際俺はそんなこと一度もしたことはないのだ。おかしい。俺の頭はバグだらけだ。しらない記憶がさも俺の記憶かのように俺の中に居座っている。1週間に1度のメンテナンスはきちんと受けていた。けれどシンラは俺がいくらバグを訴えたって大丈夫だよ、問題ないという。そもそも元気をはかるんだよと言っていたのに体はまるで見もせずに、俺の頭に変なのをいっぱい取り付けるのは、いったい何故なんだろう。「イザヤ、イザヤ、聞こえるか」と毎回毎回呼ばれるのは何故なんだろう。「イザヤ」っていうのはいったい誰なんだ。
俺の頭の中を疑問がぐるぐる回る。
けれど俺は今日もそんなことは悟られないように、笑顔で平和島を呼ぶ。手をつなぐ。「行こう」と言ってまるでシンラの家へ行くのを楽しみにしてたようなふりをする。だって俺は、平和島にずっと、俺だけを見ていて欲しい。



[岸谷新羅]

今日、静雄がサイケデリックを連れてメンテナンスに来た。最近の静雄には焦燥が見られる。たぶん彼との生活に戸惑い、疲れているんだろう。当然だ。なぜなら彼は臨也じゃない。静雄が求めているのは臨也なのだ。けれど静雄にはサイケデリックを見捨てることはできない。そもそもの性根のやさしさと、なによりサイケデリックの体が臨也のものであるという事実がそれの邪魔をする。静雄はきっとサイケデリックを愛してしまっているんだろう。彼は臨也ではないのに。そのことがより静雄を追い詰めている。ねえ、臨也、君は愛する静雄をこんなふうにしたかったのかい。心の中でもうこの世界には存在しない友人に問いかけてみる。彼からの返事はない。当然だ。だけどあの友人ならきっと性根の悪そうな笑みを浮かべて「さあ、どうだろうね」とか言ったりするんだろうなということは想像がついた。本当に厭な男だ。そんなところが僕は好きだったけどね。心の中でそっと呟く。今のサイケに違うものを感じているというのなら、きっと静雄もそうだったんだろう。いや、そうなんだ。彼はいまだにもうここに居ない臨也を求めている。「頼む」と言った静雄に「やっぱり彼に戻って欲しいのかい」と訊ねると、すこし目を泳がせて、ためらいがちに、「・・・ああ」と答えた。ふう、とためいきを吐いてサイケデリックに向き合う。彼の体を使ったサイケデリックは彼そのものの顔をしている。しかし浮かべている表情は似ても似つかぬものだ。「じゃあ、行こうか」声をかけるとサイケデリックは輝く瞳をやさしげにやわらげて、「うん」と言った。「今日はどれくらいで終わる?」
「いつもとそんなに変わらないよ」
「早めに終わらしてね!今日は平和島とタイタニックを見るって約束してるんだ」
ね?と静雄を無邪気に振り返るサイケデリックに静雄はやはりすこし目をそらしたまま「ああ」と答えた。そんな様子に再度ためいきを吐く。「じゃあ、ちょっと準備してくるから、そこらへんで適当に待っててね」そう言って俺は臨也の記憶をすくいあげる作業に入るため手術室へと足を向けた。



[サイケデリック]

その写真を見つけたのはたまたまだった。そこには俺が写っていた。学生服を着て、楽しそうに平和島に寄りかかるそれは間違いなく俺だった。見間違えようもない。胸の奥らへんがばくばくするのを感じた。思わずまわりをきょろきょろ見回す。平和島はソファに座ってコーヒーを飲みながらセルティとお話をしている。たぶん俺のことは見ていない。この写真の俺が「イザヤ」だ。俺は確信を持ってその写真を見下ろした。「イザヤ」は本当に、本当にしあわせそうに平和島に寄り添っていた。ちょっと性格が悪そうにも見えたけれど、今ここにいることがしあわせでたまらないという顔をしていた。平和島も、とても嫌そうにしていたけれど、「イザヤ」のことは嫌いではないんじゃないかと思わせるような顔をしていた。少なくとも俺は平和島のこんな顔は見たことがない。なんとなく口惜しいものを感じながら何気なく写真を裏返してみた。するとそこには驚くべきことが書かれていた。俺はしばらくその字を見たまま、体を動かすことができなかった。どれくらいの時間が経っただろう。シンラが奥の部屋から顔を出して「準備できたよー」と言った。俺はぱっと顔をあげて、1度平和島のほうを見た。そして「うん」と笑ってシンラの待つ手術室へと走っていった。



[サイケデリック]

あれから何年が経っただろう。俺と平和島は相変わらず一緒に暮らしている。
俺は相変わらず週に1度メンテナンスを受けに行くし、新羅とセルティも相変わらずラブラブだ。何も変わらない。ただ俺はしっている。平和島が夜、俺が寝たと思うと「臨也、起きてくれ。・・・愛してる」と囁いてはくちづけて泣いていることを。忘れられない思い出に囚われて俺を見ては傷ついていることを。だけど俺はしらないふりで笑う。いつまでも「サイケデリック」でいられるように、ただただ無邪気に笑う。




ねえシズちゃん、君はしらないだろう? 俺はもう君のことも彼のことだって、すべて思い出している。
 

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渋滞ぬけみちなしなシズイザ


※DRRR!!
※来神時代
※臨也→静雄気味



グラウンドから土煙が上がる。その中心にいるのはきっとシズちゃんだ。見なくたってわかる。立ち込める砂のまんなかで手を血に濡らして声に出さずに泣いているんだ。シズちゃんのことならなんだってわかる。だれにも教えるつもりはないけれど、それはひそやかな俺の特技だ。倒れ伏した幾人ものあらくれをぼんやりと眺めていたシズちゃんがグラウンドのまんなかからゆるゆるとこちらを見上げる。泣き出しそうなシズちゃんの瞳はここからじゃ見えない。だけど俺は確信を持ってシズちゃんを見つめて右手をゆるくふる。微笑んだ俺にシズちゃんが血だらけの拳を握り締めるのが見えた。

「またかよ」
呆れたように零された声にうんまあね、と答えて頬に手をやる。そこはシズちゃんの怪物的パンチを食らって青黒く変化しているはずだった。もちろん治療はしたから今は変色した肌なんて見えないはずだけど。ふふ、と笑うとドタチンは心から、といった感じでためいきを吐いた。「どうしておまえもわざわざ殴られるような真似するかね」おとなしくしてろよ、と言うドタチンに、おとなしくしてたらシズちゃんは俺を見てくれるの?と聞いたら酷く渋い顔をされた。そのシズちゃんはいま、教室前にある教卓にもたれて新羅となにか話している。昨日俺がつけたはずの切り傷はもうどこにもない。すこしだるそうに話すそのうしろすがたを見詰める。シズちゃんがいまにも振り返るんじゃないかと思って俺はいつだってそのときのための準備をしていた。だけどいままで一度もシズちゃんが俺を振り返ったことなんてない。いまもシズちゃんは俺がおなじ教室にいることなんて忘れているかのように新羅とうだうだと何事か話している。ガン、と思い切り机を蹴ったら、みんながおどろいた顔でこちらを振り返った。シズちゃんが額に青筋を立てて笑う。物騒な笑みだ。その笑みを受けてにい、と口角を吊り上げて袖口からナイフを取り出す。隣でドタチンが頭に手を当ててうつむいた。

「目が合うだけで嬉しいとかそういう域を超えているからねこれは」と新羅は言った。
わかってるよ、と言って裂傷のたくさんできた手を投げ出すと乱暴にぐっぐっと消毒液を塗りこまれた。痛い。「もっと手加減してよ」と言うと「自業自得だよ」と返ってきた。「君、本当になにがしたいのさ」なんて新羅が聞いてくるから「シズちゃんと遊びたいだけだよ」と言うと、新羅は「かわいそうな静雄」なんて言った。どういう意味だ。「俺のほうがかわいそうだよ」と言ってペットボトル入りの麦茶を治療を受けているのと反対の手で掴んで喉に流し込む。「君の場合はかわいそうなのは頭だよ」そういってぺし、と新羅が腕を叩いてくる。どうやら治療は終わったらしい。「ありがと新羅」ささやいて立ち上がるとためいきを吐かれた。「静雄は喧嘩なんかしたくないんだよ」そう新羅は手のかかる親戚の子を諭すような調子で言う。
「化け物がなに言ってるんだってかんじだよね」
「そうじゃなくて、」
「だからさ」
「?」
「だから、俺はシズちゃんが潰したいと思えるたったひとりになりたいんだよ」
だって、そうしたらシズちゃんの心は永遠に俺のものだろう?そう言うと新羅は憐れみのこもった瞳をしてもう一度「かわいそうな静雄」とつぶやいた。

今日も最後にシズちゃんと喧嘩して帰ろうと思って校門で待ち伏せしていたら、しらないおさげの女とシズちゃんが体育館横の人目につかぬ場所に消えていくのを見た。体育館横はうちの学校の告白スポットとして有名な場所だ。見たくもないのに気づけば俺は体育館のそばに立っているふっとい木のうしろに隠れて様子を伺っていた。シズちゃんと並ぶとすごくちいさく見える少女が色白の肌を赤くして一生懸命口を動かしている。シズちゃんは戸惑っているようだった。そのうちシズちゃんはその少女にそっと手を伸ばした。少女が赤い頬をさらに蒸気させて顔を上げる。それ以上見ることなんてできなくて俺の体は気づけば走り出していた。視界いっぱいに広がった茜色の空を眺めていたら思わず涙が溢れそうになって俺は上を向いた。その場にしゃがみこんでちいさく鼻を鳴らす。

俺家で泣いたりするんだよ。そう言ったときに「冗談だろ」と言ったのはどこのどいつだっけ。
新羅かドタチンか、まあそのへんだろう。もしかしたらシズちゃんだったかもしれない。ほんとだよ、ちいさく頭の中で思って俺はやたらに赤い空に目をやった。東京の空には星なんて浮かばない。空気が澱んでいるからだ。なのにどうして夕焼けはこんなにも綺麗なんだろう。どうせなら太陽だって消えてしまえばいいんだ。照らされることがなけりゃ涙なんかだれにも悟られることはない。こんな綺麗な夕焼けに照らされるぐらいなら雨のがましだ。毎日酸性雨が降り続けばいい。そして俺のこんなきもちなんか流してくれれば。いつまで経ってもむくわれない、こんなきもちなんか。「くそ、」吐き出した声が震える。涙が止まらない。

「なにやってんだ、てめえ」頭上から俺がこの世でいちばん気に喰わなくていちばん聞きたい、低い声が降ってきた。「・・・シズちゃん・・・?」見上げるとシズちゃんはあからさまな動揺を顔に浮かべて「お、おまえなんで泣いてんだよ・・・?」と聞いてきた。ハンカチを差し出そうとわたわた体を探っていたが最初から持っていなかったことに気づいたのか俺の着ていたTシャツを無理やり引っ張ってそれで顔を拭いてきた。伸びたらどうすんだよ。その手を振り払おうかとも思ったけれど結局されるがままになりながら俺は「シズちゃんがいなくなってくれないと俺の心はいつまでも土砂降りなんだよ」と言った。「なんだそりゃ?」とシズちゃんは本当にわけがわからないという顔で首を捻る。もっとわかりやすく言え、とシズちゃんが言ってくるので「要するに俺が泣いてるのはシズちゃんのせいだってこと」と言った。シズちゃんの表情に疑問が増える。「俺なんかしたか?」と困惑したように聞いてくる。そのあいだもシズちゃんは俺の顔を俺のシャツでごしごし拭き続けている。いい加減シャツが破れそうだった。「いつもしてるよ」と簡潔に答えてやる。いつもみたいに笑えたらいいのに。充血した目じゃ恰好がつかない。
「なにを」
「存在してるじゃん」
「・・・てめえ、喧嘩売ってんのか?」
「ちがうよ」
「ああ?売ってんじゃねえか」
「いまは売ってない」
そういえばシズちゃんとこんなにふつうに会話したのは初めてかもしれない。
いつも挑発してばっかりで、シズちゃんは単細胞だし、殺し合いでコミュニケーションをとることしかしたことがなかった。
「シズちゃんなんで俺と喧嘩するの?」
「あ?そりゃてめえがいっつもいっつもいっつもむかつくことするからだろうが」
「俺は違う」
「は?」
「俺はシズちゃんがむかつくから殺したいんじゃない」そりゃかなりむかつくけどさ。でもそれだけじゃない。そういうとシズちゃんはますますわからないって顔をした。首をかしげる。それと同時にシャツがびりっていって破けた。腹が剥き出しになって外気に触れる。ちょっとどうやって帰れって言うんだよ。

「シズちゃん、さっきの女の子どうした?」
「あ?」
「さっきの女の子だよ。告白でもされたんだろ?」
「・・・あー」なんでてめえがしってんだっていう不審な目で見てくる。そんなことはどうだっていいだろと先をうながす。
「で、どうだったんだよ」
「あん?なんでてめえにんなこと教えなきゃ・・・」
「いいから」
「・・・断ったよ」
「なんで」
「・・・あぁ?んなこと決まってんだろうが。・・・俺が壊さねえって保障ねえからだよ」シズちゃんは気まずげに俺から目線をそらす。痛さをこらえるような顔をする。
「・・・じゃあさ」
「・・・なんだよ」
「俺を選べば?」
「・・・は?!」
「そしたら愛してあげる」
「・・・てめえ頭大丈夫か?」
「ていうか、愛してる」
「・・・や、あの」
「シズちゃん愛してるよ」
「あー・・・おまえ熱とか、」
「俺なら壊れないよ。俺ならシズちゃんが相手だって絶対に壊れないし潰れない。何度だって殺しあって生き残ってやるよ。そんで何度だって愛しあってあげる。どう?悪くないだろ?」
「・・・わかった、おまえまたなんか企んでんだな?」
「ちがう」ちがうよ信じて。「俺ほんとにシズちゃんのこと好きなんだよ」ガードレールの向こうを車が過ぎる。さっき降った夕立の残り水が跳ねて俺たちの足元を濡らした。
シズちゃんは困ったような顔で黙り込んだままだ。赤く染まっていた空が暗く翳ってゆく。

「・・・臨也」
ようやく、といったかんじでシズちゃんがしずかに口を開いた。
「それがほんとなら、受け入れてやるよ」
「・・・え?」
「なに間抜け面晒してんだよ。おまえが言い出したんだろが」
「え、いやそうだけど・・・・・・俺だよ?」
「あ?わかってるよ」
「・・・いいの?」
「何度言わせんだよ。・・・まあ、おまえなら壊れなさそう、だしな」
そう言ってシズちゃんは少しはにかんだように俺を見て笑った。俺はシズちゃんの穏やかな笑みなんてはじめて見たので驚いた。点り始めた電灯が、赤く染まった俺の頬を照らしていた。




なんかいつのまにか歌詞からずれた。残念極まりないです。高田梢枝さんの歌はいいなあ~すきだ。
つづきから拍手コメお返事です!

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callingcalling


※DRRR!!
※静雄と臨也
※いろいろ適当許して下さい



奴はときどき、きまぐれに俺の電話を鳴らす。
どこで俺の番号をしったのかはしらない。情報屋である奴に、そんな質問はそもそも無意味であろう。かならず非通知設定でかかってくるその電話は、たとえば仕事終わりでくたくたに疲れきっているときに、はたまたまだ日も昇らぬ夜更けに、たいした必要性もなくふいに鳴る。いつからはじまったものかもうわからないが、この電話はもう長いこと俺の生活と寄り添っていて、日常と呼んでも差し支えないものになっていた。

今日もまた、もう寝ようかとちいさなテレビの電源を落としたとき、非通知で電話がかかった。もしもし、の「も」も言わないうちに「やあシズちゃんこんばんは。元気?」とやけにハイテンションな声が流れ出す。「こんばんは、いざやくん。てめえから電話かかってくるまでは元気だったよ」と返すと、くふふふ、と電話の向こうで笑うのが聞こえた。きしょくわりい。「ちょっと付き合ってよ」と言うから「もう付き合ってんだろ」と答えた。「そうだったね」と言ってまた笑う奴は明らかにちょっとおかしい。俺に電話をかけてくるときはいつもこうだ。変に元気で、まるでなにかを取り繕っているみたいだ。なにかを隠されているようで俺はそれが気に喰わない。

そんな俺の気をしってかしらずか、臨也は今日の昼間に放送していたテレビの話だとか、うちの弟の熱愛報道の話だとかを楽しげにしている。俺が昼間は家にいないことや、臨也がうちの弟に近づくことを徹底的に避けていることなんかをしっての話題だ。つくづく性根が腐っているとしか思えない。ひとしきりあいつがしゃべりつくして、沈黙が訪れたとき、俺はなんとなく聞いてみた。
「なあ、臨也」
「なに?」
「おまえさ、」
「うん」
「なんかあったのか?」
電話の向こうで一瞬、息を呑む音がした。
「なんで?」
「なんとなく」
「はっ、なんもないよ、あるわけないだろ?大体もしなにかあったとして、それをシズちゃんに悟らせるようなドジ、俺が踏むわけないじゃんか。ばかにするのもいいかげんにして欲しいなァ」
ばかにしてんのはそっちだろと言いたかったが言わないでおいた。なにか、俺には触れられないものが、そこにはあるような気がした。




その電話から2ヶ月、俺は普段どおりにとつとつと日々を暮らしていた。仕事じゃ相変わらずキレてトムさんに迷惑かけっぱなしだったけどトムさんは「まあしゃあねえって」のひとことで俺を許してくれつづけていた。俺はできるだけ恩返しをできたらとキレないよう努力して仕事に励んだし、なかなかに忙しい毎日が続いていた。数少ない友人であるセルティとも長いこと会えてないくらいだった。だから、そのことを思い出したのは本当にたまたまだった。そういえば長ェことあいつと会ってねえな、とふと思っただけのことだ。なんだかんだで犬猿の仲と池袋中に言われてしまうような関係だ、互いに互いが大嫌いではあるものの、2週間以上まったく顔を見ないということは今までなかった。べつにわざわざ会ったりするわけではないが(それこそ身の毛がよだつ)街中で見かけるということはかなりの頻度であった。だからこそまったく連絡手段などがないにもかかわらず(俺のほうには、だが)、ずっと続いているともいえた。それがここ数週間まったくない。おかしい、俺は直感で思った。



「へ?臨也?そういえば全然連絡ない・・・かも?でもそれがどうしたの?」
旧友である変態、岸谷新羅の元を訪れ臨也から連絡はないかと聞くと、奴は目をしろくろさせてそう答えた。
「めずらしいね。君が臨也のことを気にかけるなんて。まさに吃驚仰天の境地だよ」
「べつに気にかけてるわけじゃねぇ」
「まったまた~そういうところ、嫌いじゃないけどね。静雄はちょっとは素直になったほうがいい。そもそも人に気持ちが伝わらないほうなんだから、その上ツン属性じゃ望みは低いよ。好きなら好きって言わないと」
「てめえぶち殺されたいのか」
「すみませんごめんなさいちょっと調子に乗りました」
一瞬で床に這いつくばって土下座する新羅を視界の端に追いやって、俺は考えに潜り込む。

新羅にも連絡がないとすると本当に何かあったのか。いや、ただ単に家に引きこもってまた変なこと企んでるだけかもしれない。あいつならあり得ることだ。半引きこもりみたいなもんだし。そもそも俺があいつの心配をしてやるというのもおかしな話だ。なんで大嫌いな奴の心配なんかしてんだ。どっかで野垂れ死んでくれてたらそんなありがたい話はないだろ。しかし、最後に電話がかかってきた夜の、あの妙なハイテンションが気にかかる。あれはなにかを隠してた。隠していたんだ。間違いない。
「・・・くせぇ」
「えっなに?くさい?それは俺が?どうしようそんな、俺はでき得る限りで清潔にしてるはずなのに!くさかったりしたらセルティに嫌われちゃうよ!どうしようああセルティセルティセルティセルティーイ!」
「うるせえ!」
騒ぐ新羅の顔を思い切りつかんで口をふさぐと、
「ふぉうぇんふぁふぁいふぇもふぉんとにふふぁいならろこらへんふぁふふぁいのふぁふゃんとふぃってふぉふぃふぉごふぉご」みたいなわけのわからないことをもごもご言った。心底うるさい。

「新羅、あいつなんかもめたとかそういうことは言ったりしてなかったか」
口をふさいでいた手を離してそう問うと、はあはあとわざとらしく息を整えたあとで眼鏡をかけなおし新羅はこう言った。
「いいや?大体あいつの場合もめごとなんかしょっちゅうだろ。いちばん目立ってるのは君とのことだ。それ以外にもたくさんもめごと抱えてるだろうねえ。あいつもなかなか厭な男だから」
「んなことてめえに言われなくてもしってんだよ。あー・・・」
「なに?そんなに静雄が悩んでるなんてめずらしいね。しかも臨也に関することだなんて、僕はなんと言ったらいいか、この分だと片目どころか両目が飛び出して目玉親父になりそうだよ」
「てめえもなかなか厭な男だよな。俺だってんなことわかってんだよ。でも・・・」
「でも?」
「・・・いや。わかんねえ。・・・あー・・・あああ、むしゃくしゃする。ノミ蟲の野郎、ぶん殴りてぇ」
「なんだかねえ。そんなに気になるんなら訪ねればいいんじゃないの、直接」
「直接?」
「ああ、君は臨也の家をしらないか。いいよ、教えてあげる。たしか新居のおしらせが来てたはずだからね」
そして俺は新羅にもらったメモを手に、新宿へやってきた。ビル風に吹かれながら顔を上げる。目の前にそびえたつ高級そうなマンション、それが臨也の住居のはずだった。



扉を前にして、俺はそれを蹴り倒そうかどうか少し悩んだ。しかしさすがにはじめて訪ねるのにそれは常識を欠いた行動かと思い直しておとなしくチャイムを鳴らす。返事はなかった。そう、とノブに手をかけるとそれはあっけなく開いた。すこしおどろいてしばらくのあいだ扉を見つめる。
「・・・臨也、いんのか?」声をかけながら玄関に足を踏み入れる。むわ、と湿った空気が俺を襲う。中は淀んでいた。しばらく人が入っていないような様子だ。照明などもひとつもついておらずまっくらだった。「・・・臨也?」しんと静まり返った部屋を見渡して俺は言葉を失った。部屋はむちゃくちゃに荒らされていた。まともなものがほとんどない。「臨也、いるか?」もう一度呼びかけてみるも返事はない。ひっくりかえった机のすぐそばに高級そうな灰皿が落ちていた。その中に入っていたと思われる吸殻が床に無数に散らばっている。臨也は煙草を吸わない。何人もの人間がここで煙草を吸ったと考えるのが妥当だった。

そのまま扉まで引き返したところでカンと音がした。外からだった。ばっとそちらへ顔を向けると驚いた顔をした臨也が肩を押さえて立っていた。着ている服は部屋と同じくめちゃくちゃで、顔は傷だらけだった。口元には血がにじんでいる。足は、なぜかはだしだった。
臨也は、すぐに顔を引き締めると、瞬間身をひるがえした。
エレベーターは遅いと判断したのか、階の端にある非常階段を猛然と走り降りていく。しかしその足は不自由そうに引きずられていた。俺もそのあとを追いかける。下まで降りたところで、その姿を見失った。しかし俺はいままでの経験上、こういうとき臨也はそう遠くへ行っていないことをしっていた。遠くへ行ったと思わせておいて近くに身を隠しているのだ。その場所はすぐにわかった。俺がそちらへ近づいていくとそれを察した臨也はどこにそんな力が残っているのか信じられない速さで路地裏へと走り込んで行った。そのまま後を追おうとしたとき、スラックスに入れた携帯から着メロが流れた。津軽海峡冬景色。反射で通話ボタンを押す。
「・・・来ないで」耳に掠れた、しかし聞きなれた声が聞こえた。
「臨也?」
「来ないで、ぜったい来ちゃダメだよ。もし来たら俺はシズちゃんを抹殺する」
物騒なセリフ吐いてんじゃねえよできもしないくせに、浮かんだ言葉は喉の奥に押し込んで、俺は足を止めたまま臨也が消えた路地を見つめる。雰囲気からして行き止まりだろう。よりにもよってそんなところに逃げ込むなんて。臨也らしくもない。先ほど見た驚愕に見開かれた目とぼろぼろの服、そして傷だらけの顔を思い出す。
「・・・なにがあったんだ」
「・・・べつにィ?シズちゃんにはなんら関係のない話だよ」
「関係ねえはねえだろ」
「関係ないじゃん」
「・・・・・・」
「・・・ちょっとミスっちゃってさ。それだけだよ」
「それでなんで部屋があんなことになんだよ」
「やだなぁシズちゃん、不法侵入だよ」
「うるせえ。どんなミスしたらあんなことになんだって聞いてんだよ」
「ちょっとしたミスをしたら、だよ」
「うぜぇ!」
ちがう。俺は、俺はこんなことが言いたいんじゃなくて、
「家、帰ってなかったろ」
「・・・・・・」
「なにがあった、・・・いやちがう、だれに、」
なぜ俺はこんなにも苛立っている。俺は、いったいなにが聞きたい。わざわざ新宿くんだりまで来て、臨也に、なにを。臨也がけっして俺に真実など話すわけもないとわかっているくせに。

「・・・はは」臨也が乾いた笑い声を上げた。
「はは、はははは、あはは、・・・シズちゃんさ、いったい俺になにを聞きたいの」なにを、しりたいの。臨也の口唇が電話越しに低く呟く。
「俺がここで、こいびとに遊ばれてぽいされて手下のひとにリンカンされたりしました、って言ったら満足なの?シズちゃんさ、・・・なんなの?」
掠れた声が強い調子になって、折れた。ぽきりと、音がしたような気がした。
「俺になにがあったってシズちゃんなんかに関係ないだろ!そうさ、シズちゃんになんかこれっぽっちも関係ない。なのになに?まさか弱味でも握ろうってわけ?」
「俺は・・・」
「なら教えてやるよ、こんなの弱味でもなんでもない。大体シズちゃんに情報をあやつる能力があるとはとても思えないしね。・・・ははは、そうさ、俺には恋人がいたよ。わざわざD/Vまで奮ってくれるやさしいやさしい恋人がね。それで捨てられて部下のひとたちに乱暴されて監禁されそうになったから、逃げてきた。・・・はは、すごく刺激的な体験だったよ。俺はすごい果報者だ。いままで情報としてしかしらなかったことを実際に体験できたんだからねえ・・・実際は想像をはるかに超える。・・・はは、これだから人間はたまらない!
俺は人間を愛してやまないよ。あは、あははははは、ははははははは!」
「臨也!」
もういい、そう低く叫ぶと受話器の向こうでふ、と臨也が口をつぐむのを感じた。
「は、・・・軽蔑した?」
「・・・いまさらだろうが」
「・・・シズちゃん」好きだよ、息にまぎらせるようにして臨也がささやく。俺は、その瞬間、呼吸が止まるのを感じた。胸に怒りがこみあげて、すぐにいっぱいの悲しみに変わっていく。そんな嘘、俺にだってわかるようなそんな薄っぺらい嘘を。吐かなきゃならねえほどいまおまえは追い詰められてるとでも言うのか。いつだって、なにがあったって余裕だと言いたげなむかつく笑みを浮かべているくせに。いまおまえはその笑みさえ。

「・・・嘘吐いてんじゃねえよ」
「うそじゃない、うそじゃないよ」すき、シズちゃん、すき、すきだよ、あいしてる。臨也の声が受話器越しに俺に降りかかる。
「・・・臨也」
「すき」
「・・・臨也ァ」
「すきだよ、シズちゃん」
「臨也、」臨也、臨也、臨也臨也臨也臨也臨也臨也、イザヤ、イザヤ、イザヤ、イザヤ、




すき、すき、すき、受話器の向こうで掠れる声に縋りつく。
そんなものが聞きたかったわけじゃないのに、ただ、いま俺は、そのくちびるから嘘が剥がれ落ちていくのを、ただひたすらに待っている。




こないだ「に/け/つ/っ!」って番組で電話の話をじゅにあさんがしていたので書いてみました。わたし自身は電話にがてすぎて音が鳴るだけで失神します(←おおげさ^ω^)臨也と静雄が電話でなかよくおしゃべりなんかするはずないとも思ったんですけど、でもまだありうる範囲ですよね。・・・ね(^^)ふたりで遊園地デートとかよりはね!それにしても臨也と静雄はどーしてこーも書きにくいのか・・・愛が足りないんですかね。もっと、いちゃつかせたいのだ!精進します(・ω・´)キリッ
 

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プロフィール

HN:
芦野汎音
性別:
女性
趣味:
絵描く 歌うたう 本読む ネットサ~フィン(^ω^)
自己紹介:
京都在住、おたく どうじんがわたしの生き甲斐!←
ぎんたま、ばさら、おおふりを愛しています。テニヌの王子様、デュラララ!!に夢中です。愛、溢れ出ちゃう!



※解離性障害(多重人格・不随意運動ほか)を患っています。そのため更新も一人ではなく数人でおこなうことがあるかもしれません。ご了解下さいませ。

※ここに置いてある小説もどきみたいなんは、特に表記のない場合ぜんぶテニヌの王子様二次です。

※CPに節操はありません!お気をつけ下さい!

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